1_無線LANとは(図で直感的に理解)
無線LANとは、電波を用いて構築するローカルのネットワークで、ケーブルを使わずに端末同士やルータを接続します。 配線不要で移動性が高く、複数端末を同時接続できる点が利点ですが、電波干渉・到達距離・暗号化などの制約やリスクがあります。
1-1_無線LANの構成要素(例:家庭)
無線LANの構成要素は、ONU、ルータ、アクセスポイント、無線端末等があります。
各構成要素を示したのが下記図になります。
図解1_無線LANの構成要素を示した図

- ONU【回線変換】
光やケーブルなどのプロバイダ回線を家庭内で使える信号(Ethernet)に変換する装置。基本的にインターネット回線と家庭内ネットワークをつなぐだけで、IPアドレスの割当やルーティングなどの高度な機能は持たない場合が多いです。 - ルータ【ゲートウェイ機能、経路制御、NAT、DHCP、ファイアウォール等】
家の中のローカルネットワークとインターネットをつなぐ「玄関口」として振る舞います。インターネットに接続するための、無線端末へのIPの自動割当(DHCP)に始まり、内部ネットワーク(LAN)と外部ネットワーク(WAN)の経路制御(ルーティング)やNATによるIPの共有、外部からの不要なアクセスを遮断するセキュリティ機能など、多様な役割を果たしています。 - アクセスポイント(AP)【無線の基地局】
外部から有線で運ばれてきたデータを無線に変換してスマホやPCと接続させる装置。AP単体ではインターネット接続を提供できません(ルーター等と組み合わせる必要がある) - 無線端末 ・・・ スマホ・PC・IoTなど、APと電波で通信する機器。
1-2_Wifiとの違い
Wi‑Fiは無線LANで使われる規格や相互接続性を保証するブランド名で、メーカーや機種が異なっても互換性を保つためのルール群を指します。
簡単に言うと「無線LAN」は技術的概念、Wi‑Fiはその中で広く使われる規格・認証という関係で、家庭用ルーターやスマホで「Wi‑Fiを使う」と言う場合はIEEE 802.11系の無線LAN規格に準拠した接続を指すことが多いです。

無線LANとWifiの違いが分かりにくいです・・・

もう少しかみ砕くと、無線LANは「ケーブルを使わずに電波でつながる仕組み」のことで、対してWi‑Fiは「その仕組みをみんなが同じように使えるように決めたルールやマーク」のことを指します。つまり、無線LANという大きなしくみの中で、Wi‑Fiは“共通の約束事”を守ったやり方です。だから「Wi‑Fi対応」と書いてある機器なら、メーカーが違っても同じように接続できます。
イメージで言うと、無線LAN=「道路」、 Wi‑Fi=「交通ルール」のような関係です。道路があってもルールがなければ安全に走れません。Wi‑Fiはそのルールを整えて、誰でも安心して使えるようにしているんです。
2_無線LANの性能要素(Wi‑Fi1〜6の概観)
無線LANは、ネットワークの技術であるため、速度等の性能要素が重要となってきます。
性能要素とは、簡単に言うとWi Fiがどれだけ速く・安定して・効率よく通信できるかを決める技術的な要素のことを指します。本記事(シリーズ1)では、無線LANを構成する6つの基礎技術の内、最大通信速度、周波数、帯域幅について、無線LAN(Wifi)の世代と共に解説していきます。
| ①無線LAN規格 | ②最大通信速度 | ③周波数帯 | ④帯域幅 | ⑤変調方式 (一次変調) | ⑥多重方式 (二次変調) | ⑦空間分割多重 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| WiFi 1 (IEEE 802.11b) | 11 Mbps | 2.4 GHz | 22 MHz | BPSK QPSK | DSSS | なし |
| WiFi 2 (IEEE 802.11a) | 54 Mbps | 5 GHz | 20 MHz | BPSK QPSK | OFDM | なし |
| WiFi 3 (IEEE 802.11g) | 54 Mbps | 2.4 GHz | 20 MHz | BPSK QPSK 16-QAM | OFDM | なし |
| WiFi 4 (IEEE 802.11n) | 600 Mbps | 2.4 GHz, 5 GHz | 20 MHz, 40 MHz | 64-QAM(6bit) | OFDM | MIMO |
| WiFi 5 (IEEE 802.11ac) | 6.9 Gbps | 5 GHz | 20 MHz, 40 MHz, 80 MHz, 160 MHz | 256-QAM(8bit) | OFDM | MU-MIMO |
| WiFi 6 (IEEE 802.11ax) | 9.6 Gbps | 2.4 GHz, 5 GHz | 20 MHz, 40 MHz, 80 MHz, 160 MHz | 1024-QAM(10bit) | OFDMA | MU-MIMO |
2-1_最大通信速度とは?
無線LANの「最大○○Mbps」はカタログ上の理想的な最高値で、実際に使うときの速度とは違います。表示は電波の理論上の速さで、実際の通信はヘッダや暗号化などのプロトコル分、再送や他の無線との競合、電波環境、端末性能といった要因で遅くなります。たとえば「Wi‑Fi 5の1ストリーム433Mbps」は、実効は環境次第でだいたい30〜70%に落ちることが多く、表示どおりに出るとは限りません。
実務的な目安として、家庭や小規模オフィスでは「
理論値の半分」を目安に帯域設計を行い、高密度環境ではさらに余裕を見て30%程度を想定することが多いです。
2-2_周波数帯の違い(2.4GHz/5GHz/6GHz)
無線LANで使う周波数帯は主に2.4GHz/5GHz/6GHzの三つで、それぞれ「到達性」「干渉の受けやすさ」「使えるチャネル幅」が異なります。
2.4GHzは壁や障害物を回り込みやすく到達距離が長い反面、電子レンジやBluetoothなど多くの機器と干渉しやすくチャネル幅は狭め(主に20MHz)です。
5GHzは干渉が少なく高速な通信が可能で、チャネル幅を80MHzや160MHzまで広げられるため動画や大容量転送に向きますが、遮蔽物に弱く到達距離は短くなります。
6GHz(Wi‑Fi 6E以降)はさらに空きチャネルが多く高帯域幅を確保しやすいため高密度環境や低遅延用途に最適ですが、対応端末と提供エリアが限定されます。
| 周波数 | 到達性 | 干渉の受けやすさ | 使えるチャネル幅 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 2.4GHz | 長い (壁や障害物に強い) | 高い (家電・Bluetooth等と競合) | 狭い (主に20/40MHz) | IoT・遠距離接続・古い機器 |
| 5GHz | 中程度 (2.4より短い) | 中〜低 (チャンネル数多く回避可能) | 広め(20/40/80/160MHzまで) | 動画ストリーミング・ゲーム・高速通信 |
| 6GHz | 短い (最も減衰しやすい) | 低い (新規帯域で混雑少ない) | 非常に広い (160MHz/320MHz候補) | 超高速・低遅延(Wi‑Fi 6E/7向け) |

すいません・・・そもそも周波数ってなんでしたっけ?

周波数は「1秒あたりに繰り返される回数」を表す物理量で、単位はヘルツ(Hz)です。音の高さや電波の種類を決める重要な値で、Wi‑Fiのような電波はギガヘルツ(GHz)という非常に大きな単位で表されます。例えば50Hzは1秒に50回の振動です。単位はヘルツ(Hz)で、1000Hzは1kHz、1000kHzは1MHzというふうに桁が上がります。

あれ・・・周波数はいつでもWifiとかで使う電波のことを指しているわけではないのですね・・・

その通りです、音波も周波数で表現され、高い音=高い周波数(例:1000Hz)/低い音=低い周波数(例:100Hz)という関係で、人が聞く「高さ(ピッチ)」は周波数で決まります。
ラジオやテレビ、Wi‑Fiは電磁波の一種で、周波数は非常に高くkHz・MHz・GHzで表します。たとえばWi‑Fiの2.4GHzは 2,400,000,000Hzに相当し、周波数が高いほど波長は短く、性質(届きやすさや混雑しやすさ)が変わります
図解2_周波数の概要

2-3_帯域幅とチャネル設計の基礎
無線LANの技術要素として「 帯域幅」というものが存在し、20/40/80/160MHzのような単位で幅が設定されており、「 一度に送れるデータ量」を決めています。幅を広げるほど理論上の速度は上がりますが、電波の占有が大きくなり干渉を受けやすくなるため、実環境では必ずしも広い幅が最適とは限りません。

うーん、周波数と帯域幅の違いがよくわかりません・・・

ここは、話が混在しやすいので難しいですが、道路で例えると少し分かりやすいかもしれません。
周波数は「道の種類」と考えます。低い周波数(例:2.4GHz)であれば、遠くまで届きやすく壁を通り抜けやすく、高い周波数(5GHz・6GHz)であれば、届く距離が短いが、混雑が少なく高速通信に向くなど、道ごとの特徴があります。
対して、帯域幅は「道の幅(車線数)」と考えます。20MHzは細い道(少量の同時通信)向けで、40/80/160MHzは車線を増やした広い道で、一度により多くのデータを流せる(=理論上の速度が上がる)といったイメージです。
図解3_周波数と帯域幅の違い

2-3-1_チャネルについて
無線LANにおいて「チャネル」というのは、「通信の区画」を表しています。
先ほどの周波数と帯域幅と混在しやすいので、具体例を出しつつ考えてみましょう。
周波数2.4GHz、帯域幅20GHzといっても、具体的には以下の13パターンがあります。この13の各一つ一つが、チャネルと呼ばれているもので、機器等が通信をする際は、この中から一つを選択して通信を行います。※周波数のGHzは比較のために、MHzに直しています。
| チャネル | 中心周波数 | 20MHz幅の範囲(概算) |
|---|---|---|
| 1 | 2412MHz | 2402–2422MHz |
| 2 | 2417MHz | 2407–2427MHz |
| 3 | 2422MHz | 2412–2432MHz |
| 4 | 2427MHz | 2417–2437MHz |
| 5 | 2432MHz | 2422–2442MHz |
| 6 | 2437MHz | 2427–2447MHz |
| 7 | 2442MHz | 2432–2452MHz |
| 8 | 2447MHz | 437–2457MHz |
| 9 | 2452MHz | 2442–2462MHz |
| 10 | 2457MHz | 2447–2467MHz |
| 11 | 2462MHz | 2452–2472MHz |
| 12 | 2467MHz | 2457–2477MHz |
| 13 | 2472MHz | 2462–2482MHz |

あれ、これチャネル1と2って数値が被っていませんか?

いいところ気づきましたね、2.4GHzは周波数が被るチャネルが発生しており、もし被るチャネルを使ってしまうと通信が混線してしまいます。なので、近いエリアで複数のチャネルを使用して無線LANを使用する時、2,4GHzであれば、1チャネルと6チャネルと11チャネルのように周波数が被らないものを利用する必要があります。
2-3-2_5GHz帯域について
先ほども触れましたが、5GHz帯は「高速で混雑が少ないが届きにくい」という特徴があり、航空機のレーダー等でも使用されますが、多くは無線LAN(Wifi)で利用される帯域となり、動画やオンラインゲームなど高速通信に向きます。2.4GHzとの違いは以下になります
図解4_チャネルの概要

3_まとめ
シリーズの1回目は、基本的な無線LANの概要と、重要な要素である最大通信速度、周波数、帯域幅、チャネルについて解説しました。周波数は「道の種類」であり、帯域幅は「道の幅」であり、チャネルは、「実際の道路(=各道路の個別名称)」というところを抑えてもらえればと思います。次回は、性能要素の残りとして「変調方式」「多重方式」「空間多重分割」について解説したいと思います。
(参考)よくある質問
- Q12.4GHzと5GHzは何が違うのか
- A1
2.4GHzは壁を通りやすく対応機器が多いが混雑しやすく速度が出にくい。5GHzはチャンネルが多く高速だが壁や距離で減衰しやすく、レーダー共用のチャネルではDFS/TPCの制約がある
- Q2帯域幅(20/40/80/160MHz)は何を意味するのか
- A2
帯域幅は一度に使える周波数の幅で、広いほど理論上の最大通信速度が上がるが占有帯域が広くなり隣接チャネルとの干渉や到達距離の悪化を招く。実務では安定性重視なら20MHz、近距離で高速が必要なら広帯域を検討する。
- Q3チャネルの重なり(干渉)を避けるにはどうすればよいか
- A3
まず周辺の電波状況をスキャンして混雑の少ないチャネルを選ぶ。2.4GHzでは実用的に1・6・11を使い、5GHzではW52(36–48)を優先、必要なら出力調整や20MHz運用に切り替えて安定化する。

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