- 1ルーティングとは
●ルーティングの概要
●L2スイッチの限界 - 2実際のルーティングの流れ
- 3ルーティングテーブルはどのように作成されるのか
●静的ルーティング
●動的ルーティング - 4ルータとL3スイッチの違い
1_ルーティングとは
通信データ(パケット)の宛先IPアドレスを参照して、最適経路へ通信データを転送する機能(ルーティング)のことを指します。ルーティングする機器※としては主に2種類あり、ルータとL3スイッチがその役割を担います。
※ロードバランサーやFW等の機器がルーティング機能を持つ場合もあります。
ルーティングの例
Aネットワークにある端末(PC1)から、Dネットワークにあるファイルサーバにアクセスする場合、Bネットワークのルータを経由するか、Cネットワークのルータを経由するかをAルータが各種条件に従い判断するのがルーティングです。


データを転送する機器としては、L2スイッチも同じ役割を担っていたと思うのですがどのような違いがあるのですか?

L2スイッチは、同一ネットワーク内の転送処理は可能ですが、ネットワークを跨ぐ処理は出来ません。
通常、異なるネットワークにデータを送信する際、送信元の機器はネットワークの入口となるルータ(デフォルトゲートウェイ)にデータを送信し、ネットワークを跨ぐ処理は、ルータが実施します。

確か前に教えてくれたVLANという技術は、ネットワークに関係していた気がするのですが・・・

例)営業部と総務部でVLANが分かれており、
営業部PC1から総務部PC3に通信を取ろうとするケース

L2スイッチとVLANについては下記記事で解説していますので、ご参照ください。
2_実際のルーティングの流れ
ルータ等の機器が実際にどのようにして受信したデータをルーティングしているのかを見ていきましょう。
例)PC1からファイルサーバへデータを送信するケース
※通信の前提としてルータは、宛先ネットワークと転送先の対応表である「ルーティングテーブル」を機器の内部に持っている。
① 送信元の機器(PC1)は、ファイルサーバのIPアドレス(10.4.1.30)を宛先IPアドレスとしてデータを送信する
② ルータAは、受信したデータの宛先IPアドレスとルーティングテーブルを照合し、最適な経路を選択の上データを転送する。
その際、ルーティングテーブルには、ルータBを経由するルートCを経由するルートの2つの情報が記載されているが、ルータBを経由するルートは回線が速い(=ルーティングテーブル上はコストが低い)ため、ルータBと接続されているインターフェースにデータを転送します。

ルーティングテーブルの解説

②-1_宛先ネットワーク
IPを個別に記載するのは現実的ではないため、ネットワーク単位で記載し、受信したIPアドレスが
該当ネットワークに含まれるかどうかをチェックする。
例)受信したデータの宛先IPアドレスが10.4.1.30の場合、宛先ネットワーク10.4.1.0/24内に含まれる。
②-2_Nextルータ
転送先機器のIPアドレスが記載されています。上記事例ではルータBのIPアドレスが入ります。
※なお、一つのルータが管理している複数のネットワーク間をルーティングする際は、該当ネットワークがルータに直接つながっている形になるので、「direct connected」のように記載されます。
②-3_出力インターフェース
データを転送する際のルータの物理的な接続口を指します。ルータBに転送する際は、インターフェース01からデータが出ていいきます。
②-4_コスト
ルーティングのルール次第ですが、OSPFと呼ばれるルーティングについては、コストという概念が存在し、回線の速度等を考慮に入れてルートを決定することが出来ます。
3_ルーティングテーブルはどのように作成されるのか
ではルーティングの要となる、ルーティングテーブルはどのように作成されるかを見ていきましょう。ルーティングには静的ルーティングと動的ルーティングの2種類が存在し、それぞれにルーティングテーブルの設定方法が異なります。
3-1_静的ルーティング
静的ルーティングは管理者が明示的に手動でルートを設定する方式です。たとえば Cisco社の機器 なら「 ip route 192.168.2.0 255.255.255.0 192.168.1.254」 のように固定経路を入れます。
メリットは単純さと予測可能性で、ルータの負荷が小さくセキュリティ面でも制御しやすい点が挙げられます。小規模ネットワークやインターネット出口のデフォルトルートなどに適します。
一方、デメリットは障害時に自動復旧しないことと、ネットワークが増えると管理が煩雑になることです。

3-2_動的ルーティング
動的ルーティングはルータ同士がプロトコル※(例:RIP、OSPF、BGP)で経路情報を交換し、ネットワーク変化に自動で追従します。
メリットは可用性と拡張性で、障害発生時に自動で代替経路へ切り替わるため大規模環境に向きます。
デメリットは設定と理解がやや複雑で、プロトコル間の調整やルータ負荷、トラフィックのオーバーヘッドが発生する点です。
※OSPFは内部ネットワーク向け、BGP外部ネットワーク向けといったプロトコルごとに特性があります。


要約すると、
静的ルーティングは管理者が手動で経路を固定する方法で、設定が簡単で安定するが可用性や拡張性に欠けます。
動的ルーティングはルータ同士が経路情報を自動交換して経路を更新する方式で、大規模・変化の多い環境に向きます。
4_ルータやL3スイッチの比較
ルーティング機能をもった機器としてルータとL3スイッチを挙げましたが、2つはどのような違いがあるか見ていきましょう。
【ルータ】
ソフトウェアベースの機器であり、異なるネットワーク間のデータ通信に重きを置いており、多くの動的ルーティングプロトコル(OSPFやBGP)をサポートしていることに加えて、NATなどの多様な機能を扱える点が特徴です.
【L3スイッチ】
専門のハードウェア機器でIPルーティング(VLAN間ルーティング)を高速に処理するため、同一拠点内の多数ポートを持つ環境で効率的に動作します
| 属性 | ルータ | L3スイッチ |
|---|---|---|
| 役割 | ネットワーク間ルーティング | VLAN間ルーティングを高速処理 |
| 主な用途 | 境界防御・VPN | 大規模LAN・データセンター |
| 強み | 多機能・柔軟 | 高性能・低遅延 |
ルータ及びL3スイッチの違いについては、やや複雑なため別記事で解説する予定です。
(参考)よくある質問
- Q1ルーティングって何ですか?
- A1
ルーティングは「データを目的地まで運ぶ道順を決める仕組み」です。
コンピュータやスマホが送るパケットは宛先のIPアドレスを持っていて、ルータやL3スイッチがその宛先に最も適した経路(どの機器を経由してどの線を使うか)を選びます。日常の例で考えると「どの道を通って友達の家に行くか」を決めるのがルーティングで、道順は手動で決める(静的)ことも、自動で学習して更新する(動的)こともあります。
- Q2ルーティングとスイッチングの違いは何ですか?
- A2
ルーティングはIPレイヤ(L3)で異なるネットワーク間の経路を決める処理、
スイッチングは同一ネットワーク内でフレームを転送するL2処理です。
ネットワーク境界を越える通信はルーティング、同一セグメント内はスイッチングと覚えると実務で混乱しにくいです。
- Q3静的ルーティングと動的ルーティングはどう使い分けるべきですか?
- A3
小規模で変更が少ない環境や明確な出口(デフォルトルート)には静的が有効(設定が簡単で予測可能)。
拠点間や大規模ネットワーク、冗長化が必要な環境では動的が適切(自動で経路を学習・切替)。
運用では静的で安定性を確保しつつ、動的で可用性を担保するハイブリッド運用が現実的です。



コメント